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レイテ沖海戦“謎のUターン” 栗田中将の名誉回復を 最後の兵学校生徒が著書(産経新聞)

 ■「歴史見直すきっかけに」

 史上最大の海戦といわれたレイテ沖海戦(昭和19年10月)をめぐり、主力艦隊を率いながら“謎のUターン”で勝機を逸したと批評された栗田健男中将(1889〜1977年)の名誉回復を図ろうと、栗田氏が校長を務めた海軍兵学校最後の生徒だった戦史研究家、大岡次郎さん(80)=大阪阿倍野区=が、関係者の証言などをもとにした著書「正説レイテ沖の栗田艦隊」(新風書房刊)が完成した。同海戦の評価をめぐっては諸説あるが、戦後65年の節目に大岡さんは「歴史を見つめ直すきっかけになれば」と話している。

 栗田氏は、連合艦隊の戦隊司令官としてミッドウェー海戦(昭和17年)やガダルカナル・ヘンダーソン基地砲撃(同)などに参加。艦隊司令長官としてレイテ沖海戦に加わった後、20年1月から終戦まで、最後の海軍兵学校校長を務めた。

 レイテ沖海戦は、劣勢に立った日本の起死回生策として企図され、本土から南下した空母部隊が米軍の正規空母部隊を北へ誘い出したすきに、栗田艦隊がレイテ湾に突入する作戦だった。ところが、栗田艦隊はレイテ湾近くまで南進したものの、突入せず北へ反転。このことが戦後“謎のUターン”と呼ばれ、「敵前逃亡だった」などと激しい批判を浴びた。

 反転の根拠となったのは、南進中の栗田艦隊に飛び込んだ「北約100キロに敵空母部隊がいる」という内容の電報だったとされる。だが、この内容は虚報だったことが戦後判明。打電元はわからないままで、「退却のために栗田艦隊司令部が電報をでっち上げた」とも非難された。

 栗田氏を敬う大岡さんは、栗田氏が昭和42年、東京から関西へ移り住んだのを機に、兵学校の同期生とともに以降数十回にわたり自宅を訪問。無口で有名で、兵学校入校の日に「弁解はするな」と海軍軍人の鉄則をしつけた栗田氏が、訥々(とつとつ)と話すのを聞くとともに、海戦に参加した十数人の将校からも証言を取った。

 著書では、栗田氏がレイテ出撃にあたり、「敵主力部隊撃滅の好機あれば、乾坤一擲(けんこんいってき)の決戦を断行する」と訓示していたことを紹介。“謎のUターン”についても、栗田氏自身から「強い敵のいるほうへ行くのは当たり前だ」と聞いたことなどにふれ、「Uターンは強敵である空母部隊(敵の正規部隊)を求めての行動で、謎でも何でもない。栗田中将の考えは、最初から一貫して変わらなかった」と結論づけている。

 大岡さんらは生前の栗田氏から「ほかの誰にも許さないが、お前たちだけには許す」と自身の伝記を書くように言われ、以来約40年間にわたり、構想を温めてきた。“謎のUターン”の評価については諸説あるが、大岡さんは「私がいなくなったら、真実が誰にも知られなくなってしまう。戦争を知らない若い人たちにもぜひ読んでもらいたい」と話している。

 「正説レイテ沖の栗田艦隊」は、大岡さんの海軍兵学校入校から65年となる4月3日に発売される。四六判422ページで税別2千円。問い合わせは新風書房(TEL06・6768・4600)へ。

                   ◇

【用語解説】レイテ沖海戦

 昭和19年10月23〜26日にフィリピン・レイテ島周辺海域で繰り広げられた日米両軍の大規模海戦。米側はフィリピン上陸と奪還、日本側はその阻止と、南方からの戦略物資の輸送経路確保を目指した。日本海軍の連合艦隊が総力を挙げて戦ったが、空母をすべて失うなど壊滅的打撃を受けた。神風特別攻撃隊が初めて出撃した戦闘としても知られる。

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 鳩山由紀夫首相は26日、10年度予算成立を受けた記者会見に臨み、内閣支持率の下落傾向について「深刻に受け止めるべきだと理解している」と強い危機感を示した。ただ、鳩山政権が抱える郵政改革案や「政治とカネ」の問題を巡る発言は揺れ動き、今夏の参院選を控え、首相の焦りばかりが空回りしている印象は否めなかった。

 首相は、閣内対立が表面化した郵政改革案について、全閣僚による閣僚懇談会を30日に開き、最終案を取りまとめる方針を表明した。しかし、亀井静香金融・郵政担当相の改革案について「委員会などで答弁した数字は大変重い。閣僚も認識する中で議論を進めることが必要だ」とも語り、骨格部分の修正には否定的な考えを示した。

 郵便貯金の預け入れ限度額の引き上げなどを盛り込んだ亀井氏の改革案に対しては、閣内から「民間金融機関の投融資にどういう影響を与えるか、十二分に議論しておかなければいけない」(仙谷由人国家戦略担当相)などの慎重論が相次いでいる。閣僚懇での再調整に乗り出した首相だが、結論ありきの会合なら意味がない。

 「政治とカネ」についても、首相の姿勢ははっきりしない。首相は23日、北海道教職員組合からの違法献金事件を抱える民主党の小林千代美衆院議員に対し、処分の必要性に言及。しかし、26日の会見では「小林氏は関連する公判が控えており、党として、処分ということまで考えていないという状況だ」と述べるにとどめた。

 下げ止まらない内閣支持率を受け、記者会見では首相退陣の可能性を問う質問も出た。首相は民意の離反について「今は厳しい時だからこそ、(国民から)『お前は総理として頑張れ』というお気持ちを頂いていると思い、自らを励ましているところだ」との解釈を披露。自らの進退について「考えていない」と強調した。【中村篤志】

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政治献金の有無、8割無回答…72教組調査(読売新聞)

 北海道教職員組合(北教組)による政治資金規正法違反事件に絡み、読売新聞が、日本教職員組合(日教組)傘下の全国72教組に政治献金のアンケートを実施した結果、献金やパーティー券購入の有無を明らかにしたのは16団体だけで、8割近くの56団体からは回答が得られなかった。

 回答をしない主な理由は「組合員に報告している」「公表する義務はない」などだが、教組を巡る「政治とカネ」のあり方が問われる中、一般の組合員からは「献金の実態が不透明なままでは若い人はついてこない」などという声が上がっている。

 アンケートは今月中旬から下旬にかけ、日教組系の全国50の小中学校などの教組と22の高校の教組を対象に、政党や政治資金団体への政治献金やパーティー券の購入実績などを質問した。

 その結果、神奈川、兵庫、岡山の各県の公立小中学校の教組が、過去に政治献金やパーティー券を購入した実績が「ある」と答えた。

 このうち兵庫県教組は、民主党の「兵庫県参議院選挙区第2総支部」に2007年と08年に500万円ずつ寄付したことが同支部の政治資金収支報告書に記載されている。同教組は「会計に余裕のある年だけ法の範囲内で寄付をしている」と回答し、献金額は明らかにしなかった。

 「つきあいでパーティー券だけを購入している」と答えた神奈川県教組も購入額は未回答で、額まで明らかにしたのは「国会議員1人に10万円程度のパーティー券購入実績がある」とした岡山県教組だけだった。

 「ない」としたのは岩手や長野の公立小中学校や名古屋市の市立高校など計13教組。このうち高知教組の幹部は政治献金を行わない理由を「私たちは労組だが、同時に教育に携わる者でもある」などと語った。

 また、日教組が支援する政治団体「日本民主教育政治連盟」(日政連)所属の国会議員10人の地元教組で回答したのは、計13団体のうち神奈川県教組や兵庫県教組など4団体だった。

 一方、25教組からは回答が寄せられなかったほか、民主党の小林千代美衆院議員(41)陣営に政治資金を違法に提供したとして委員長代理が起訴された北教組や、山梨、千葉の公立小中学校の教組など31教組からは「回答を控える」などと連絡があった。

 回答しない理由について山梨県教組は「組織内のことで、公表はしていない」とし、北教組では政治献金などの有無は「組合員に報告している」としている。

 これについて、北教組の組合員で道内の30歳代の男性教員は「組合の会合で政治献金のことを説明された経験がない。献金をしているのかいないのか外部にもオープンにすべきで、このままでは若手の組合離れが進む」と危惧(きぐ)し、山梨県内の40歳代の男性教員も「胸を張って公表すればいいはず。現状では、やましいことがあると思われても仕方がない」と話した。

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<放送要請差し止め訴訟>原告適格なしと請求却下 大阪地裁(毎日新聞)

 総務相が放送法に基づきNHKに放送要請を行うのは表現の自由に反するとして、大阪の市民団体が原口一博総務相に要請差し止めを求めた訴訟で、大阪地裁は26日、「原告適格がない」として請求を却下した。山田明裁判長は「原告が主張する権利は、国民が等しく持つ一般的な権利で、放送法には国民の個別的利益として保護する趣旨はない」と述べた。【日野行介】

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 兵庫県三田市弥生が丘の無職大下タヨリさん(84)宅で19日、大下さんが死んでいるのが見つかり、兵庫県警捜査1課と三田署は20日、司法解剖の結果、首の圧迫による窒息死とみられることから、殺人事件として同署に捜査本部を設置した。大下さん周辺でトラブルがなかったか、調べを進めている。
 捜査本部によると、19日午後4時ごろ、大下さん宅を訪ねてきたおいが、大下さんが布団の中で死んでいるのを見つけ、119番した。
 三田署員が駆け付けたところ、大下さんは布団に部屋着であお向けに寝た状態で、鼻や口から血を流していた。
 遺体は死後5〜6日が経過していた。抵抗したような跡は見当たらず、玄関などは施錠されていたという。 

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日韓EPA交渉の再開模索へ=鳩山首相が関心、こう着打開目指す(時事通信)

 日本政府内で、2004年11月を最後に中断している韓国との経済連携協定(EPA)交渉の再開を模索する機運が出てきた。「鳩山由紀夫首相の関心が高い」(政府筋)ことが背景で、4月に予想される李明博大統領の来日をにらみ、こう着局面の打開を目指す。その一環として赤松広隆農林水産相が21日からソウルを訪問し、農水産品の市場開放で意見交換するとみられる。
 現政権では、各国とのEPAや世界貿易機関(WTO)の新多角化貿易交渉(ドーハ・ラウンド)について、外務、経済産業ら4閣僚による委員会で協議している。赤松農水相の訪韓などを踏まえ、首相官邸主導で日韓EPAの対応方針の策定も検討する見通し。 

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芭蕉の句は「氷の僧」か「こもりの僧」か (産経新聞)

 【麗し大和・記者の裏話】(11)

 3月7日の「【麗し大和】(10)お水取り」で、芭蕉の句「水とりや氷の僧の沓の音」を紹介したら、「こもりの僧」ではないか、との問い合わせの電話やはがきをいただいた。中には詳しい番地が書いていないはがきもあり、お答えすることができないので、ここで少し説明をさせていただくことにする。

      ◇

 芭蕉は生涯に5回、奈良を訪れている。初めて奈良を訪れたのは貞享2(1685)年2月のこと。それをまとめたのが「野ざらし紀行」だ。

 そのなかに、「二月堂に籠(こもり)て」とあり、「水とりや」の歌が詠まれる。ところが現在、「氷の僧」とするものと、「こもりの僧」とするもの、2種類の形が伝えられていて、混乱が生じている。今回、「こもりの僧ではないか」との問い合わせをいただいたのはそういうことだった。

 実は取材するなかで、圧倒的に(パンフレットや展示パネルなどでも)「こもりの僧」としているのが多かったのは事実である。ただ、和歌や俳句の場合、漢字やおくりがななど参照する書物によって表記がまちまちなのはよくあることで、いつも複数の解説書や現代語訳を含めて目を通し、確かめることにしている。で、今回も調べたところ、「氷」と「こもり」の2種類あることに気が付いた。

 結論としては、「氷の僧」が正しいと考えざるを得ない。「大和路の芭蕉遺蹟」(増田晴天楼著、奈良新聞社)の説明がわかりやすかったので、かいつまんで引用させていただく。(記者による補完あり)

 「氷の僧」の出典は、「甲子吟行」(野ざらし紀行)と「芭蕉庵小文庫」(元禄9、1696年)。「甲子吟行」は芭蕉の真筆とされているし、いずれにもはっきりと漢字で「氷の僧」と書かれていて、疑う余地はないのではないか。かなで「こおり」ならば、「こもり」と間違うこともあり得るかもしれないが…。

 「こもりの僧」の出典は、江戸中期の俳人、蝶夢の「芭蕉翁絵詞伝」(寛政5、1793年)と「芭蕉発句集」(安永3、1774年)で、いずれも芭蕉(1644〜1694)没後100年ほど経過して書かれたもの。「氷の僧」では意味が通りにくいと考えた蝶夢が、「こもりの僧」と書き換えたのではないかとみられる。

 以上の検証をもとに、これまでもさまざまな研究者の意見があり、「こもりの僧」とするほうが、作品として優れているという意見もあるようだ。

 また、芭蕉が二月堂で、「こもりの僧」を「氷の僧」と聞き違え、極寒のなかで参籠する様子を見たこともあっておもしろい表現だと思い「氷の僧」とした…と想像をふくらませる解釈もあった。詳細は「大和路の」をご参照ください。

 というわけで、「氷の僧」が正しいと記者は判断している。ただ、「こもりの僧」とする句があまりにも普及したため、また意味が通りやすいこともあって、いまも「こもり」と表記されることも多いようだ。個人的には「氷の僧」の方がいかにも寒々しいなか、石畳に張った氷を踏みしめ参籠する練行衆の姿をみごとに表現しているように思えて、好きである。(山上直子)

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ダチョウ卵の殻に幾何学模様=6万年前、水筒に利用か−南ア(時事通信)

 南アフリカ共和国の大西洋岸近くにある洞穴内の約6万年前の地層から、平行線や格子状の精巧な刻みがたくさんあるダチョウの卵の殻が多数見つかった。フランス・ボルドー大などの国際研究チームが6日までに米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
 細かい破片の状態で発見されたが、当時の狩猟採集生活の人類が、丸い殻に小さな穴を開けて中身を食べた後、水筒として利用したとみられる。表面の刻みは、持ち主の個人や集団を示す目印だったとみられるが、幾何学模様のようでもあり、社会や文化の発達がうかがえるという。
 ダチョウの卵は長さ16センチ、直径13センチ前後で、容量は1リットル程度。見つかった破片は2〜3センチ角で、計270個あった。色は赤やオレンジ、灰色などさまざまだったが、化学分析の結果、着色したのではなく、たき火の影響で変色したことが分かった。
 南アフリカでは近年、約7万7000年前の抽象的な模様が刻まれた堅い土片や、約7万5000年前の貝殻ビーズも見つかっている。 

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2年後の改定、複数科の再診料が争点に(医療介護CBニュース)

【第99回】西澤寛俊さん(全日本病院協会会長)

 10年ぶりにネット(総額)でプラスとなる来年度の診療報酬改定。勤務医の負担軽減などから、今回は病院側に手厚かったものの、病院団体が要望していた入院基本料の底上げには至らなかった。また、外来の財源枠があらかじめ決まっていたため、病診の再診料統一をめぐる議論が紛糾し、複数科の再診料の検討も見送られた。中央社会保険医療協議会(中医協)の委員を務める全日本病院協会の西澤寛俊会長は、2年後の改定では複数科の再診料が争点になると強調する。西澤会長に来年度改定の評価と、中医協の今後の在り方などについて聞いた。(敦賀陽平)

■来年度改定、「大病院には非常によかった」

―来年度の報酬改定をどのように評価していますか。

 ネットでプラスになったことは評価したいと思います。本音を言えば、もう1ケタぐらい付くのではないかとの期待を持っていました。民主党のマニフェスト(政権公約)などで、われわれ(医療者側)にかなり大きな期待を持たせたなと。ただ、税収の伸び悩みなどを考えると、厚生労働省の政務三役は頑張ったと思います。
 病院全体を見ても、いい改定だったと言えるでしょう。特に救急、産科、小児科などがあり、かなり高度な手術をやっている大病院にとっては非常によかった。中小や慢性期医療を担っている病院への恩恵はそれほど大きくありませんが、過去10年の状況を考えると、かなり改善されたと思います。

―外来と入院の財源枠が初めて示されましたが、これをどのようにとらえていますか。

 社保審(社会保障審議会)の基本方針があり、内閣で改定率が決まっていた上、入院の財源枠の中でも4000億円は急性期医療といった縛りもあった。これは非常にやりづらかったですね。もう少し自由度があってもよかったと思います。決して、単純に分けられる話ではありません。われわれ、病院経営者はトータルで判断しなければならないので、改定に関してもバランスを考えますから。

―政権交代で中医協人事が難航し、改定の議論が1か月遅れましたが、その影響はありましたか。

 影響は非常に大きかったですね。もっと議論の時間が欲しかった。もともと、中医協で改定の議論がスタートするのは遅いのに、それがさらに遅れた。今回、社保審の医療部会と医療保険部会がいつもより早く開かれましたが、結果として、その意味がなくなってしまった。細かい部分では、もっと議論すべき点もあったのかなと。基本方針にのっとって各項目を評価する前に、もう少し基本的な議論があってもよかったと思います。
 一つの象徴が、再診料だったのではないでしょうか。ほとんど議論しないまま、「この財源枠の中でどうするか」というところから始まったのは、やはり不満が残ります。再診料は、外来の点数の技術料の最たるものです。「技術料とは何なのか」「そこに何が入っているのか」という議論が必要だったと思う。また、最終的に全体の財源で決まるのはやむを得ないにしても、その財源自体、われわれは絶対的に少ないと考えているわけですから、それを共通の認識にした上で、議論するなり点数を付けるというのが筋ではないでしょうか。これらの議論が抜けてしまったのは、すごく残念だと思います。

―日本医師会の執行部の委員が外れたことについて、どのようにお考えですか。

 前回改定までは、日医を中心に全体の流れがほとんど決まっていました。ただ、それはよい面もあったと思います。早い段階から診療側で議論をして、ある程度の考えをまとめてから、中医協の議論に臨むことができましたし、お互いの考え方もよく分かっていた。しかし、今回は「ぶっつけ本番」のような形になったので、そういう意味では、これまでとは違いましたね。最初は議論がどう進むのか非常に不安でしたが、(診療側の)新しい先生方はしっかりした見識を持った方ばかりで、非常にいいチームだったと思います。

■明細書の無料化、「冷静な議論があってもよかった」

―来年度から、病院(200床未満)の再診料が9点上がる一方、診療所は2点下がります。200床以上の外来診療料は点数が据え置かれましたが、再診料をめぐる議論を振り返っていかがですか。

 わたしたちは入院と外来、トータルで考えました。外来だけを見ると、「どうして200床未満だけで、200床以上は点数が付かなかったのか」という話になりますが、トータルで考えると、入院は200床以上に重点的に付いている。中小病院は、救急もあまり高度なことはやっていませんし、難しい手術もそれほど多くありません。産科や小児科をしているところも少ないので、入院ではあまり評価されないことになる。だから、外来でその分を配慮してもらったということです。外来の財源枠は400億円と決まっていたので、全体のバランスを考えた上で、外来診療料については見送らざるを得ませんでした。

―レセプト(診療報酬明細書)並みの明細書の窓口での発行が、来年度から原則として無料になります。

 きちんと議論ができなかったという意味では、これも悔いが残ります。もう少し冷静な議論があってもよかったのではないでしょうか。われわれが毎回明細書を出す必要はないのではと主張すると、情報を隠そうとしていると取られてしまった。それがすごく残念ですね。方法論として、どれだけの患者さんが望んでいるのかというデータと議論があってもよかったと思います。ただ、これは中医協ではなく、社保審の医療保険部会で議論すべきだったのかもしれません。

―日本病院団体協議会(日病協)の要望のうち、入院基本料の大幅な引き上げは実現しませんでしたが、一方で、急性期の病院に対する看護補助者への加算が新設されました。

 すべての入院基本料の底上げにはなりませんでしたが、14日以内の入院早期の加算を22点引き上げたほか、10対1に「一般病棟看護必要度評価加算」として、1日5点の算定を認めるなど、加算である程度は評価されたと言えます。また、急性期病棟への看護補助者の配置を評価する「急性期看護補助体制加算」も新設されました。この算定期間は14日までですが、かなり点数が付いています。そういう意味では、限られた財源の中で、厚労省なりに考えたと思っています。

―療養病棟入院基本料の点数が、看護配置と重症度に応じて2段階になります。

 これまでは20対1も25対1も同じ点数で、医療区分で大きく差がついていました。20対1の要件として、患者さんの8割以上は医療区分2、3なので、その分で人件費が出るという考え方です。今回は看護職員や看護補助者の配置だけでなく、患者さんの重症度を考慮した点数になりました。一つの考え方としてはいいと思いますね。ただ、付いた点数をどう評価するかは別で、それが実際のコストに見合っているかと言えば、若干ずれています。

―来年度から、現在の調整係数に代わる新たな機能評価係数が25%導入されますが、これを含め、DPCをめぐる議論をどう評価しますか。

 調整係数を廃止することは前回の改定で決まったわけですから、新たな機能評価係数に関する議論そのものはよかったのではないでしょうか。
 ただ、DPC評価分科会の議論を聞いて、現在の調整係数を新たな機能評価係数に代えるのは至難の業だという印象を持っています。来年度の改定では、6項目を係数として導入することが決まりましたが、「救急医療」は他の項目とは少し性質が異なります。患者さんの数で決めるわけですから、ちょっと違うような気もします。「地域医療」については、基本的な考え方はいいんですが、要件は今後さらに検討する必要があると思います。来年度から段階的に導入されるので、その過程を検証し、それを基に議論することで、さらにいい係数になるのではないでしょうか。もちろん、今のDPC自体も、まだまだ改善の余地があるので、並行して議論する必要があると思っています。

―看護職の月平均夜勤72時間以内の要件(72時間ルール)については、72時間ルールのみを満たせない場合の入院基本料の減額を20%に抑える緩和措置が設けられます。この算定期間をめぐっては、最終的に公益裁定となりました。

 わたしたちが72時間ルールの廃止を求めたのは、「本当に困っている。何とかしてほしい」との看護の現場の声があったからです。ただ、これについては感情論になってしまい、議論にならなかったような気がします。
 入院基本料の減額には、看護職の人員が基準を下回った場合と、72時間ルールのみが満たせない場合の2つのケースがあります。今回は72時間ルールのみが満たせない場合でしたが、それを理解していない委員もいて、議論が一部ぐちゃぐちゃになっていました。一定の措置はあるものの、要件が満たせなくなって、特別入院基本料575点まで一気に下がれば、病院がつぶれるわけですよ。どこも頑張っているけれど、できないから少し何とかしてほしいと。一気に殺さないでくれというだけなんです。今回の緩和措置で少し余裕ができたので、特に夜勤ができる看護師さんが少ない地方の病院は助かるのではないでしょうか。
 ただ、基準以上の人員が要るわけですから、どのような勤務体系を組むかは、医療機関に任せてほしい。患者さんを第一に考え、看護師さんも働きやすい方法を現場で考えるわけですから、72時間を強要するのはおかしいと思います。

■社保審を含めた「中医協改革」を

―日病協の要望書では、患者が複数科を受診した場合、2科目以降の再診料も算定できるよう求めていました。今回は外来の財源枠があらかじめ決まっていたため、診療所側に配慮して見送った形となりましたが、2年後の改定ではこれが争点となるのでしょうか。

 なるでしょうね。ただ、これにはかなりの財源が必要です。病院の再診料を1点上げた場合、影響額は約20億円ですが、200床以上の外来診療料を含めると、約40億円になります。病院の再診料を現行の60点とし、2科目以降を半分の30点と仮定すると、すべての患者さんが2科目を受診した場合、単純計算では1200億。その半分で600億、3分の1でも400億円必要です。外来の財源が400億の段階で、既に付けられないと思いました。かといって、2科目以降が10点では、「そんな点数だったら…」という話になると思うんです。だから、今回は議論できませんでした。ただ、次回は必ず実現したいと思っています。ただ、財源がなければ不可能なので、大幅なアップを要求していこうと思っています。

―診療側は答申後の記者会見で、「中医協改革」を主張していました。民主党もそれを掲げていますが、今後、中医協はどう在るべきだとお考えですか。

 2006年度の改定から、基本方針は社保審の医療部会と医療保険部会で決まっています。それ以来、中医協の役割は非常に狭まったと感じていますが、同時に、われわれはその枠の中でしか議論できないと考え過ぎているとも思っています。ですから、医療部会と医療保険部会を含めた上で、「中医協はどう在るべきか」という議論が必要ではないでしょうか。逆に言うと、医療部会と医療保険部会がもっと変わる必要があるということです。あそこが変わらない限り、中医協も変わらないと思います。


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【中医協】診療側委員が改革を目指す声明を発表
【中医協】診療所の再診料、2点引き下げで決着

野菜大好き!「植物工場」にハマッた美人研究者(産経新聞)
「竹島問題の根拠示せ」拓大教授が北教組に質問状 (産経新聞)
交通事故偽装、子ども4人にけが演技させる(読売新聞)
<萩原朔太郎>マンドリン曲がCDに 音楽家への思いが結晶(毎日新聞)
防災無線一部で放送できず=更新アンテナ取り違え−高知(時事通信)

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